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100日間のプリンセス~月が導くセレナーデ~

第4章 見えない誘惑~for Leo birthday~


「わぁー。凄い!こんなところがあったんだ!」

時計台にかかる橋から見渡すその光景に目を輝かせる

「俺のお気に入りの場所。昔はアランとよく来たんだよね」

「アランと?」

(懐かしいなぁ…。二人で勝手に来てたんだよね)

「うん、子供の頃にね。勝手にここに来てこの街を眺めててさ」

レオは懐かしい思い出話を話し始めた

「レオもアランのもやんちゃだったんだね」

「よく母さんに怒られたよ。まだ小さかったしね」

遠くを見据え、あの頃の記憶を辿る

(リルちゃんに出会ってあの頃の自分と向き合える様になったなあ)

「レオ…」

「どうしたの?」

「ありがとう。ここに連れてきてくれて」

繋いだ手に僅かに力が込められ、目を逸らすことなく真っ直ぐに見つめるリル

「辛い事も、悲しい事も…思い出させてしまったかも知れない…」

「リルちゃん…」

「それでも…乗り越えてこうして居てくれて、レオの子供の頃の事知れて…生まれてきてくれてありがとう。レオ」

思わずぎゅっと抱きしめた。こんなにも自分のことを慈しみ、生まれてきた事を、生きている事を喜んでくれる事に胸が熱く焼かれそうになる

「ありがとう。リルちゃんが俺に光をくれたから、もう悲しくないよ」

「レ、レオ…」

「今ではね、両親との思い出話しもリルちゃんには聞いて欲しくなる。一つ一つを大事にしてくれるその事が俺を動かしてくれるんだよ」

(この子は俺に幸せと日向を歩く人生をくれた。俺には愛おしい恋人がいて、弟がいて、ジルたちがいる)

「俺にはリルちゃんがいる。たった一人の愛おしい人、たった一人の弟アランもいるしね」

そっと顎を掬い帽子で隠してキスを落とした。涙が伝った唇からは少ししょっぱいキスの味が広がった



二人が城に戻るころ、空は赤く染まり始めていた。城に入ると官僚の一人がレオに至急確認してもらいたい事があると告げてきた

(仕方ないけどリルに悪い事するな…)

少し迷いのある表情を浮かべているとリルは背中を押し

「レオ、行ってきて。レオを必要としてる人がいるんだもん」

陽だまりの笑顔はレオを快く送り出した
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