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100日間のプリンセス~月が導くセレナーデ~

第2章 甘く優しい隠れ家~for sid~


少し歩くと雑貨屋が見える

「綺麗ーー!」

赤や青のガラス玉にキラキラ光るピアスやネックレスが置いてある

(1つ欲しいけど…迷うなぁ…)

「何だ欲しいのか?」

「え?…ううん、いいの。ジュエリーボックスにいっぱいあるしね」

沢山のドレスにアクセサリーが用意されているが、元々プリンセスと縁のなかった育ちのリルにとって、雑貨屋にあるろ気取らないアクセサリーはとても心落ち着くものだった

「あ、シド!あそこでお茶にしようよ!」

ふんわりと甘いドーナツの匂いにつられ、シドの袖を引いた

「あれ食いてえのかよ?」

「うん!!!」

「しょーがねーな。ほら、行くぞ」

2人は仲良くカフェに入った


キャラメルクリームを挟んだドーナツと香り高いアールグレイが運ばれ、プリンセスであることを暫し忘れる

「美味しいー!キャラメルがちょうどいい甘さ」

(久々のドーナツだ)

コーヒーを飲みながらシドは終始緩みっぱなしのリルの顔を見つめている

「お前、幸せそうだな」

「ドーナツ、久しぶりだから。私のいた国でも人気のお店あったんだよ」

(よく並んで食べたなぁ)

「へぇー。お前の国の話、もっと聞かせろよ」

「へ?聞いてもつまんないよ?」

「それは俺が決めることだろーが」

暫し時を忘れ、シドはリルの話に聞き入っていた





ーーーーピリリリリリッーーー

「悪い、ちょっと外す、ジルからだ」

「うん」

(なんだろ?ジルって…)

妙な胸騒ぎがしながらシドの帰りを待った

数分後、シドは戻ってきた

「ったく、ジルの奴め」

肩を落としやれやれとシドはぼやく

「何だったの…ジルからって…」

おそるおそる尋ねると、シドは鼻で笑う

「あぁ、お前と過ごすのはいいが、振り回すなだとよ。母親だなあいつは」

「良かった…」

(すぐ戻れとかじゃなかった…)

「あ?何がいいんだ?」

顔を覗き込まれておろおろしながら言葉を紡ぐ

「そ、その…急な公務が入ったとか言われたのかと思って…」

「ふっ、んなことさせねーよ。ほら、行くぞ」

「うん!」

カフェをあとにし、暫しいろんな店を見て回った





シドの隠れ家に戻りリルは夕食作りにとりかかる。パスタとサラダを作り終えテーブルへ運ぶとシャワーを終え、シドは出てきた

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