第13章 第3話 不寝番
海軍将校でありながら、白ひげを父様と慕う。
少将という立場で、不死鳥を想う。
希少価値の稀血の持ち主なのに、Dr.ベガパンクと関係を持つ。
どうしょうもない女。
本当にどうしょうもない女だ。
『ーーーんっっ』
重なるだけの長いキス。
離れようとしたの頭を押さえ、逃さない。
この先だって簡単に奪える。
だが・・
「わかったか?
自分が女だと認識してくれ」
紅く艶やかな唇を親指で拭いながら俺は見つめた。
これ以上見たら止められないとわかっている。
だが、目が離せない。
『・・好きな人だけって・・・好きな人とする事だってサッチ兄様は言ってた』
サッチ・・あぁ、白ひげの・・・
『だけど、わからないの・・』
「何が?」
『好きって気持ち・・。
誰も教えてくれなかった。
父様も兄様達も家族への愛や優しさ、暖かさは教えてくれて与えてくれても、その好きとは違うんでしょ?
どう違うかわからない・・誰も教えてくれなかった』
おいおい、待てよ。
likeとLoveの違いは、教えられるもんじゃねぇよ。
頭を抱える俺にの視線が痛い。
こいつは本気で言ってるのだ。
俺に教えろと・・
「あーぁ、例えばな俺やDr.ベガパンクが他の女とキスしたとしたらお前はどう思う?」
『・・私としたくせにと思うかも』
どうしてこうなった。
何故俺は、恋愛講談みたいな事してんだよ。
「Sexしてたら?」
『うーん、男には色々あるってガープが言ってたし・・』
恋愛初心者に何教えてんだよ・・
恋愛初心者っうより何かが足りねぇんだよな。
言葉で言い表せない何かが。
生まれた経緯か育った環境か・・
「嫌だ、取られたくない、私だけ、渡したくない。
そんな気持ちになるか?」
『・・わかんない。
なったら好きって事?』
まぁ、一種の独占欲や束縛、嫉妬だからな。
「それもある。
だけど、1番はその男の子を孕む覚悟があるかだな」
極端過ぎだろうとは思う。
だが、妊娠は女の一生を決める。
妊娠に及ぶ行為を簡単に許してはいけないと俺はに教え込んだ。
わかったと頷く。
そんな姿を見ながら俺は絶望する。
の気持ちは俺には向かってないと認識させられる。