第12章 第2話 旅連れ
とある島。
新人類のみんなと別れて、港町へ降りる。
海軍マントに興味があるのか視線が痛いが視線を向けると慌てて晒される。
好き好んで海軍に関わりたくないのだろうか?
矛盾を感じながら、私は待ち合わせのBARへ向かう。
マントの下にストールを巻いているお陰で人相はバレないが、足早に通りを進んだ。
思ったよりイワンコフの所に長居した為、早く次の場所へ向かいたい。
あっ、その前に必要な物買い揃えなきゃな・・・
2人乗りだから荷物は乗るだろうと、ミホークとの航海の時と同じ量で事足りると思う。
『・・ここだ、よね?』
待ち合わせた場所はお洒落なBAR・・
とは、程遠いBAR。
これが普通なのか?
船の受け渡しだから目立ってはいけないと思うが逆に目立ちそうな巣窟だ。
せっかくの1人旅、今まで出来なかった事とか体験してみたかったのに
ベガパンクならと、お洒落そうなBARとか期待した私が馬鹿だった。
肩を落とし、店内へ入る。
予想してた通り、一斉に視線が飛んでくる。
下手したら刃物まで飛んで来そうな雰囲気だ。
場違いだ。
間違いなく場違いだ。
嘲笑う声を聞きながら、私はカウンター席へ座った。
注文は?と、無精髭だらけのおっさんに聞かれたが
はて?こんな場所で何を頼めばベストなんだろう?
これも体験だ!と、思い直した私は
『バーボン?』
知っている単語を口にした。
「・・・」
フリーズするおっさん。
あぁ、間違ったぽいなと乾いた笑いが漏れる。
「この嬢ちゃんにはオレンジジュースでも出してくれ。
俺は、JEREZを頼む」
そう言って隣に座った男を見て私は驚愕した。
「間違っても此処で名前を呼ぶなよ、嬢ちゃん」
飛び出そうになった3文字の言葉を飲み込んで、私は変わりに尋ねた。
『生きてたの?殺されたかと思ってた・・』
「おいおい、勝手に殺さないでくれよ」
そう笑みを溢したのは、赤犬との戦いで敗れ所在不明になっていたクザン。
彼が現れたのだ。