第5章 流れの渦
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止められなかった。
本当ならこの手を離れる事を許したくはなかった。
が何かを思っているのには気付いた。
口を閉ざすを問い詰める事は出来なかった。
次は離さない。
俺はにそう伝えた。
どう解釈したかはわからないが小さくなるの姿に俺は決意した。
「オヤジ、話があるよい」
翌朝、が行ったのを聞いて落ち込むオヤジが何とか気を取り直したのはなんと夜。
鷹の目と赤髪を相手に酒で憂さ晴らしをしていた。
「おい、マルコ!
白ひげはマジでザルだなァ、ザルだァッ!」
「ハッキリ言って、娘1人に大の男が情けない」
オヤジ相手に酒を付き合っている2人も充分強いと俺は思う。
「おぉ、マルコッ!
一緒にどうだ?!グラララ」
俺の前にデカイ盃に並々に注がれる酒。
赤髪が持参した西の海の酒だ。
「・・これを頂く前に赤髪、鷹の目2人にも聞いて欲しいよ」
俺の様子に気が付いたのか、黙って盃を置く3人。
決意したこの思い、この3人には知ってもらわなきゃいけねぇ気がした。
「を貰い受けたい」
「「「!!!」」」
「妹としてではなく、1人の女としてオヤジの娘を俺にくれないか」
オヤジから殴られる覚悟はあった。
あれ程溺愛している娘。
だが、俺の頬に衝撃を走らせたのはオヤジではなく赤髪だった。
驚く俺に赤髪は言い放った。
「何故俺がテメェを殴るか聞くなッ!
俺が殴りてぇから殴ったまでだッッ!!」
理不尽極まりない言葉。
だが、俺は口を噤んだ。
「・・やれやれ。
もう、は大人だと言っておるのにどいつもこいつも大人気ない」
「ウルセェ!鷹の目お前は黙ってろッ!!」
お前に俺の気持ちがわかるわけねぇんだ! と、吐き捨てた赤髪は盃を煽り飲む。
「・・・には何も伝えてない。
ただ、次に会った時は奪うとは言ったよい」
「・・・次かッ。
戦場になるぞッ、黄猿や青雉、センゴクなんかいる中でを連れ出す勝算はあるのかよッ?」
黙ったまま視線を合わせる。
言葉にしなくてもその決意は変わらない。
「グララ・・
だったら奪い返せ、マルコよぉ。
俺達は、海賊だッ!欲しけりゃ奪うしかねぇんだよッ!!
グラララ」