第2章 海軍本部
ーマリンフォード 海軍本部ー
三日月形の島。
その独特な形を利用した要塞は、私の庭だ。
だが、白いマントに正義を背負う・・事はしない。
「ーー少将!少将ッ!!」
処刑台の下から呼び掛けられた声に私は身体を起こした。
眠り足りない身体は、怠い。
『なぁ〜にぃ?』
「会議の時間です!
お早くコートを着て下さいッ!」
涙目で叫び声を上げるのは、部下のダイギン。
その手には、白いマントが握られている。
『う〜ん、会議は怠いしコートはもっと怠い。
ここはお昼寝に最適なんだよねぇ』
太陽の光を遮る物など何も無い処刑台の上は、ポカポカ陽気。
要するにお昼寝続行。
会議は、ドタキャンだ。
「少将が行かなきゃ俺が怒られるですッ!
起きて下さ〜いぃぃぃ!!」
毎回恒例のダイギンの叫びは平和の象徴とも言われている。
ダイギンが叫ぶ時、それは私に仕事で留守にしていない時だから。
私が仕事に向かう先には必ず大きな戦いが待っていた。
海軍本部の長い廊下を足音が2つ。
リズム良く響いている。
「少尉以上はマント着用が義務です」
あれから数分叫び続けたダイギンに折れた私。
彼が補佐に付いてから負けっぱなしだ。
『だって重いもん、ズレて落ちるかもだし』
「正義を背負っていれば落ちません」
『だって、私正義背負うつもりないもん』
「だったら何故ここにいるのですか!?」
『うーん、食べるため?かな』
「でしたら、仕事して下さい。食いぱぐれますよ」
『お仕事ちゃんとしてるよ?』
「コートを着るのも会議に出るのも仕事です」
あー言えば、こう言う。
間髪入れずに返ってくる。
私の怠いための言い訳に耐えれたのはダイキンだけ。
これまで私に付いた補佐官は最長で2週間。
ダイキンは既に2か月もっている。
真面目な性格の割には、柔軟だし要領も抜群だ。
何気に私もダイギンを気に入っていた。