第16章 第6話 パンドラの箱
最後まで言わなくても気付いてくれたゾロに私は感謝した。
出来れば自分の口からは言いたくなかった。
だけど、察してくれた事で男の人にはよくある事なんだと思い私は気分が滅入ってしまう。
『・・ゾロの言う通り代わりだったのかもしれない。
それに、伝わらないのに想うのも辛い。
私は・・楽になりたかったのかも・・・ゾロに抱かれて忘れたかった』
自分勝手だ。
ゾロを利用とした最低な考え。
幾ら何でも呆れられると思った。
だけど、ゾロは背中を撫でるのを止め 私の手をギュッと強く握った。
『・・ゾロ?』
「俺でいいなら利用しろ」
えっ?
思いもしない言葉。
「だけど、抱かれて後悔するのはお前だ。
マルコに会う時、絶対お前は思い出し自分を責める」
断言するゾロ。
ゾロが言いたい事はわかる。
ゾロに抱かれれば、マルコに会えない。
合わせる顔がない。
「それでも抱かれてもいいと思うなら覚悟しとけ。
俺はを俺だけのモノにするからな」
『・・えっ?』
「忘れさせてやる。
他の男に目移り出来ない様、俺に溺れさせてやる」
真剣な視線。
冗談や嘘では無い。
そこまでゾロは私に言ってくれた。
「選べ。
俺にするか、マルコにするか」
『そんな・・だって・・・・』
だって、だって私は・・・
「フッ、答えは出てるんじゃねぇか」
顔を伏せ、微かに呟くゾロ。
そのままゾロは私を抱き締めた。
「会いに行ってこい。
会って気持ちを伝えろ」
『ーーっっ、ゾロぉっ』
私はマルコに逢いたい。
それが私の答えだ。
「木っ端微塵にフラれた俺の所に来い。
丸ごと全て受け入れてやるから」
『それって、フラれる事前提じゃん・・・』
「悪いが俺はそっちの方が嬉しい」
強く私を抱き締める。
今だけ、今だけそのあたたかさを感じさせてほしい。
あたたかな心を持った優しいゾロに私は今日だけ甘えた。