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【ONE PIECE】 海の娘 ウミノコ

第15章 第5話 古城





『大丈夫?頭クラクラしない?』

女の声で我に返る。

「・・大丈夫だ、あれがお前の記憶か?」

『うん。
今、ルフィはハンコックの島にいるわ』

水の入ったグラスを差し出され、それを飲み干す。

やけに喉が渇く。
汗だくで、この疲労感、まるで本当にあの場にいたような気さえしてきた。

「・・・この感じた感情もお前のか?」

『わからない。
どんな感情なの?』

戸惑い、怒り、悲しみ、不安、絶望。
負の感情だ。

俺には無い思いまで感じた。
間違いなく、この女の感情だろう。

「これも血の力か?」

『そうみたいだね。
いつの間にか出来るようになってた』

記憶で知った女の過去。

起き上がるのも怠くて、横になったままの俺の隣に寝転ぶ女。
ピタッとくっ付いてきた。

「・・少し離れろ」

『無理』

怖いし怠いし寒いと呟く。

力を使った反動か?と予想を付け、女を抱き寄せた。

『あたたかい』

昼間もこの腕に抱いた。
あの時と変わらない印象に感触。

あの戦いにいたのか
あのミホークに本気を出させたのか
知ってもなお、印象が薄れなかった。

「父親に会いに行くのか?」

『・・うん、そのつもり』

俺は誰だか聞いてねぇ。
だが、記憶では只者じゃねぇのが伺えた。

『私、最初はロジャーがお父さんだと思ってた。
でも、まさか本当の兄様だったなんて、ね』

あぁ、知ってるお前の戸惑った感情。

『ふふっ、お母さん私を何歳で産んだのかな?
超高齢出産よね・・・
私もそんなに長く生きるのかな?』

「生きたくねぇのか?」

『あの地獄を見て考えたの・・
人間は残酷だって・・・』

その感情も知ってる。
あの戦いでお前が感じた物全て、自分の感情の様に錯覚してしまうほど。

「お前の旅の真意はそれか・・」

守られ狭い世界に生きていた女。
広い世界、沢山の生きる人々、それを確かめたくなったんだろう。

『ふふふっ、ゾロにはわかっちゃうのね』

「見たからな」

腕に力を込める。
スヤスヤと寝息を立て始め女・・

を俺は抱き締めたまま、瞳を閉じた。






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