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【おそ松さん】口ずさむのは【男主】

第2章 出会いは


side.カラ松

部活の自主練
たまには気分を変えようと、屋上に来てみた

扉を開けると気持ちのいい日差しが目を刺激する

「~♪♪~♪」

かすかに歌が聴こえた
心地いい低音で男の俺でも聴いていたくなる

屋上を見渡せるように扉を離れ歩みを進める
するとフェンスを背もたれにするように座る男子生徒が目に入った
顔はよく見えないが、歌っているのは彼のようだ

ただ、その声が綺麗で耳を澄ませながら食い入るようにその生徒を見つめる

「♪~♪♪~…」

やがて満足したのか、歌うのをやめてしまった
そしてゆっくりと顔を上げる

こちらに気が付き、一瞬目を見開いた後

「何、俺の歌聴くなら金取るけど」

カ「す、すまん。あまりに綺麗な声だったから」

黙って聴かれていたのが嫌だったのか、睨むように鋭い視線を向けてくる

「そりゃどうも」

言うと同時に目線が外された
初対面だから仕方ないが、素っ気ないな

カ「もう歌わないのか?」

「…人に聴かせるもんじゃないし。嫌なことあると歌うだけ」

カ「そうか、勿体ないが仕方ないな…また聴きにきていいか?」

出来ればいいよと言って欲しい
あの心地よい声と歌を独り占め出来るのだから

「あんた、俺の話聞いてた?」

呆れた様にいい放ち、溜め息をつく彼

カ「あぁ、そうだ。名前を聞いてなかったな」

「は?ホントなんなの」

話を聞いていないのは認めるが、彼のことが知りたいのも事実
お構いなしに自己紹介を始める

カ「俺は松野カラ松だ」

「十四松の兄貴だろ」

カ「なんだ、十四松の友達なのか」

意外だ。あの十四松にこんな友達がいたとは
と言うことは、十四松もあの歌声を知っているのか…なんだ、そうか

「はぁ…。だよ」

カ「ん?」

いかにも面倒ですというような声音で言いながら立ち上がる彼

「ん?じゃない。名前、あんたが聞いたんだろ」

カ「あぁ、と言うのか。よろしくな!」

「あー、はいはい」

ポケットに両手を突っ込みながら歩き出す

「じゃーな…カラ松」

振り向くことなく左手をプラプラ振る
そのまま屋上を出てしまった

またここへ来れば会えるだろうか
そして、あの歌声を…

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