第4章 体温上昇
何が起きたか分からない
一瞬だった
見えるのは天井
体の上には重みがある
その重みがだと分かるのに数秒を要した
そうだ、目眩を起こしたようにぐらついた彼を支えきれず、抱き込んだまま倒れたんだ
カ「・・・、大丈夫か?」
はぁ、はぁ、と耳元で熱っぽい吐息が聞こえる
なんだかゾクゾクした
それに加え、押し倒されてるような体勢に情事の前のような錯覚を覚える
「ん・・・カラま、つ」
吐息交じりに名前を呼ばれる
一気に顔に熱が集まるのが自分でも分かった
どうしよう、変な気分になりそうだ
「・・・わりぃ」
が体を起こす
それに続いて慌てて立ち上がった
「どっか打ったとか…ないか?」
カ「あぁ、大丈夫だ」
そのままフラフラと玄関へ向かう
その後ろをついていく
彼が熱で朦朧としていて良かった
心臓の音も、火照った顔も気付かれていないみたいだ
玄関の外に出て戸を振り返る
「…ありがとな」
カ「あ、あぁ、気にするな。ちゃんと治せよ?」
分かってる、そう言って静かに戸が閉められ施錠する音が響く
カ「…びっくりした……」
その場にヘナヘナとしゃがみこみ、膝に顔を埋める
まだ頬が熱い
思い出すだけで心臓がドキドキする
気のせいじゃない
やっぱり
カ「俺、が…」
もう否定出来ない、自覚してしまった
が好きだ、と…