第27章 海の底
「水面が光るみたいに明るくて、海みたいに広く受け止めてくれて、海底より深い愛があって・・・クサいけど、俺が溺れたくなる海」
そこまで言って抱き締められた
カ「詩人だな」
「そうかも、本出しちゃおうか」
カ「売れないだろ」
「ひでぇな」
抱き合いながら軽口を叩く
思わず顔を見合わせ、一緒に笑い出した
「カラ松に対してなら、恥ずかしいことも平気で言えるな」
カ「やっぱりには恥じらいを持ってもらわないとな」
「なんで」
ちょっとムッとした顔をする
カ「俺の心臓が保たない」
ギュッと抱き付き、肩口に顔を埋める
俺ばっか恥ずかしがってばかりだからな
「心臓止まったら、俺が人工呼吸してあげる」
カ「にされたら逆効果だぞ」
「ふーん、確かめてみようか」
顎に手を添えられ、上を向かせられる
夕日に照らされたの顔がゆっくりと近付く
それに合わせて瞼を閉じた
波音に掻き消されそうな程小さなリップ音
触れるだけで離れそうな唇に、少しだけ背伸びをして押し付ける
すると唇を舐められた
いつもの合図
薄く唇を開けばの舌が侵入してくる
カ「ん、んん、はふ・・・んぅ」
「ん、はぁ・・・どう?」
カ「やっぱり逆効果だ、ドキドキする」
言えばフッと笑い、俺の耳が胸に当たるように頭を抱き込んでくる
普段飄々としてる彼からは想像もつかないほど、ドクドクと早鐘を打っている
自分だけじゃなかったんだと思うと、なんだか嬉しかった
「俺も、心臓うるさい・・・カラ松に溺れるから、カラ松も俺に溺れてよ」
そんなの
カ「とっくに溺れてる」
再び合わさる唇
響く波音
二人の愛が、この海のようにいつまでもどこまでも、広く深く続くように
このキスにそう願いを込めた・・・