第10章 声に映し路と響 【R18】
顕如暗殺を企んだ僧侶達を捕らえ三日余り経った
信長を暗殺し、その罪を顕如に着せ、死んでもらう…手下だった僧侶は顕如の中にある情を疎み、二人の暗殺を目論んだ
(顕如さん…大丈夫かな…)
暗殺を企てた僧侶達の話を聞きつけた光秀により、策が講じられ奇襲をかけた者達、顕如暗殺に加わった者は秀吉、家康により、すべて捕らえたが、不覚にも顕如は傷を負いここ数日、安土城の床に伏せている
(傷口が痛むだけじゃなくて、心にも傷を負ったよね)
手ぬぐいを濡らし額へ当てる。幸い傷は浅いが未だ眠りから覚めない
「お願い…目を覚まして…生きて…」
小さな声が顕如に向けられたと同時に廊下から足音が聞こえる
バサッーー
前触れなく開けられた障子、そこには政宗と秀吉が居た
「なんだ、めい居たのか」
「あのなぁ政宗、いきなり障子開ける奴がいるかよ」
「政宗、秀吉さん!」
二人も顕如の側へ座り顔色を伺っている
「まだ目を覚まさないな、熱も高そうだ」
「あぁ、ただこいつは簡単にくたばるたまじゃねぇな」
「めいお前、朝からついてたのか?」
「うん、魘されてたから、心配で…」
言葉で簡単に言い表せない…悲しみや苦しみ、裏切りが交差しているのだとめいは思った
「疲れただろ?ここは俺が変わるから少し休め」
顔をのぞき込み心配する秀吉
「で、でも…」
「なら、お前もこいつの着替え手伝わせてやろうか?」
口角を上げにやりと笑う政宗。政宗が持っていた風呂敷包みの中には着替えの夜着が入っていた
「…へ、変なこと言わないでよ!!」
顔を赤くし伏せると、あのなぁ…とため息をつく秀吉の声がかかる
「とにかく、心配するな。顔に疲れが出てるぞ?」
頭をぽんぽんと撫でられその場を後にすることにした
二日後、顕如は目を覚ました。まだ傷が痛み顔を歪ませるが、意識は戻っている
「顕如…さん…!」
「うっっーー」
「う、動いちゃだめです!!」
「お嬢さん、どうしてここに?それに、ここは…」
「安土城です。まだ傷が完治してません!!お願いですから…無理しないでください」
痛みに顔を歪めながらも顕如は上体を起こし額に手を当てた