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愛を紡ぐ~二人の欠片(カタチ)~

第8章 雲掴む志と風 【R18】


(雨に打たれてすぐ熱出すって…本当弱いにも程がある)

家康は公務の為信長の元へ赴いていたが一つ気がかりなことがある。愛する女、めいは熱を出し、床に伏せている

事は三日前、めいが信長に献上するための着物を仕立て持って行った時のこと、雲行きが怪しくなり、安土城を出てまもなく大雨が振られ、ずぶ濡れで帰ってきた。女中が急ぎ湯殿の支度をしたが、その夜熱を出し苦しそうにしていた

(もう三日目、朝見た時は呑気な顔して寝てたけど…)

解熱効果のある薬草を煎じ朝昼晩と飲むように言いつけている。家康との約束を守り、みるみる回復はしているが、移してはいけないと、家康の部屋の横で1人眠るめい

「馬鹿は風邪ひかないとか、言ってた癖に。本当よわいよね…」

ぽつり独り言を呟きながら安土城へと向かっていった


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安土城へ着き、天守閣にいる信長と領地についての話を進めている

簡書を渡し、領土の視察について話し合いもまとまったところで信長が話を切り出した

「家康、めいの具合はどうだ?」

「熱も下がったようでよく寝てます」

「ほお。雨が降り出したならばここに引き返し、止むのを待てば良かったものを、あやつは貴様の元へ一刻も早く帰りたかったようだな」

薄ら笑いを浮かべ家康を見る信長

「信長様の思い込みではないですか?」

「貴様は相変わらず素直ではないな」

くくっと喉を鳴らし

「まぁ良い。無理はするなとあやつに伝えておけ」

「わかりました」

無愛想な返事をしその場を後にした

(信長様まで何を言い出すのかと思えば)

やれやれと言わんばかりに肩をすくめ自分の御殿へと向かって歩いた


御殿へ着き、廊下を歩いていると一人の女中に声をかけられる

「おかえりなさいませ、家康様、政宗様と光秀様がお見えですよ」

(なんでまたやっかいな二人が来ているんだ…まさかっ)

「わかった」

自室へと速歩で向かうと、何やら声がする。めいの困っているような声が途切れ途切れ聞こえる

(全く騒がしい。政宗さんがめいに手を出してなければ…)

祈る思いで襖に手をかけると

「じ、自分で食べれるからっ!!」

(やっぱり…本当うるさい)

「人の御殿で何してるんですか?」

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