第7章 この瞳に和と洋 【R18】
めいは耳掃除を始めた。優しく、慎重に耳の中を掃除する
「これは心地いいな。幸せな気分だ」
両耳の掃除が終わり、暫しまどろんでいた
「喜んで下さって良かったです。今度はお城の縁側でしましょうかね」
(城の縁側でか…)
信玄にある、複雑な気持ちが浮かび上がった
「めい、君はこの世の人間だ。戦のない平和で煌びやかな世で生きてきた。だが、俺は戦国の世の人間。俺とまた、たいむすりっぷとやらをしてもいいのか…」
命の保証などない。平和に暮らしてきためいを連れて行くことか幸せだとは言いがたい。信玄は身が引き裂かれる思いだ
(違う世界で生きる事など、考えたくはない。だがめいの幸せを願うなら、俺は間を引くべきなのか)
めいは一呼吸し、はっきりとした口調で言葉を紡いだ
「確かにこの世には戦はありません。夜でも外は明るく平和です。だけど、信玄様のいない世は私には無意味です。外がどんなに明るくても灰のような濁った色しか見えない、孤独な世界にすぎません。私の居場所は信玄様の隣です」
「時を超え、生きると決めて良かったよ。この世の蘭学は素晴らしい。めいは本当に天女だ」
「ふふ、私は天女なんかじゃないですよ。あ、信玄様、今日はお月様綺麗ですよ」
カーテンを少し開けて見れば満月が輝いていた
部屋の中は豆電球とお布団近くの間接照明のみにし、二人並んで月を見る
「本当だな、月はこの時代も変わらないな」
「そうですね、でも、この時代は人が作り出した灯が多くて月本来の輝きが見れませんね」
(タイムスリップした時、最初は夜が暗くて、怖くて仕方なかったのに…今は恋しく感じる)
「めいと見るつきはどこに居ても綺麗だ」
信玄はそっとそっと小さな体を抱きしめた
「温かいな、優しくていい香りがする」
肩に顔を埋め、首筋に口付けが落ちる
「んっー//あっーー信玄様っーー」
カーテンを閉め、もう一度抱きしめるとチュッちゅっと音を立て、舌先が滑るち器用にボタンを一つ一つ外しはじめた
「んぁっー//信玄様だめっ!!」
「そんな可愛い声でだめと言われたらもっとしてって聞こえるぞ」
「だ、だって…傷に触ります…」
(俺を心配してるのか)
「そうだな、傷に触るな。心の傷にな」