第7章 この瞳に和と洋 【R18】
手術を終え、無事退院した信玄。目まぐるしい回復力で医師も驚いていた
ワームホールの出現まで後数日、めいは平成の街を案内していた
「ここは甘味処です。この時代の言葉でカフェと言うんですよ」
「かふえ?南蛮の言葉か?難しいが、優しい響きだな」
「甘いものが沢山あるんですよ。暖かい甘味、冷たい甘味、信玄様も喜ぶと思います」
仲良く指を絡めデートを楽しむ二人、洋服と言う世にも不思議な着物を纏い、刀も持たぬ時代に戸惑いどころか好奇心を滲ませる信玄
「俺の喜ぶ甘味か。楽しみだな」
ふにゃふにゃと笑うすがたが愛おしい。街は色とりどりの灯が輝いているが、何よりもめいの笑顔が眩しい
「信玄様、ここです!」
人々は外まで列を作っている。若い男女、女同士、何故か皆、こちらをずっと見ている
鍛え上げられた体、背も高く、目鼻立ちのくっきりとした顔立ち。誰もが息を飲み、女達は口々に
ーーーあの人、超イケメン!モデルかしらー!!ーー
と、騒いでいる。当の本人は自分が騒がれているなどとつゆ知らず状態
(皆、信玄様に見惚れてる//確かにオーラもすごいし、かっこいいけど…)
やきもちがめいを支配する。子供じみた事で信玄を困らせたくないと思うのに…
「どうした、疲れたのか?部屋に戻るか?」
「いや、ち、違うんです…その…」
「どうした?」
肩をぐっと抱き寄せ顔を間近に近づけられる
「み、皆が信玄様を…素敵だって騒いでて…そ、その…ヤキモチを焼いちゃったんです…」
しゅんとし、まつ毛を伏せるめい
(俺が騒がれる?俺には君が可愛いと騒いでいるようにしか思えんが)
「困った子だな。俺はめいしか見えてないというのに」
口付けを落とそうとする信玄の唇を手のひらでふさいだ
「こ、ここ外です、皆見てるからダメ!」
やんわりと手首をつかみ
「ならば他の者に気を向けず俺だけを見ていなさい」
余裕の笑みを浮かべ耳もとで囁けば、はい。と恥ずかしそうに答えるめい
店員より、名前を呼ばれ、席に案内され向かい合わせに座りメニューをみる
「この時代の言葉は難しい。異国にいるようだが、絵はとても鮮明で俺の心を燻るな」
(信玄様、楽しそうで良かった…)