第3章 白銀の陰と陽 【R18】
「よし、後一箇所、留めれば出来上がり」
めいは自室に篭もり行灯を作っていた
女中たちの間で絵柄のついた和紙が人気を呼び、城下に出た時に各々が気に入ったものを買っては交換したり、故郷の親類に文を書いている
以前、佐助が灯篭を作った事を思い出し、先日、行商という名の偵察に来ていた佐助と幸村に作り方を教わっていた
「へへ、綺麗な和紙が手に入ったな♡ 手触りは知ってるものと違うけど優しい色だなぁ」
薄い紫色をした和紙には兎が描かでいる。天守閣に飾られた行灯をヒントにこれで行灯を作りたいと閃いたのだ
「光秀さん、喜んでくれるかな」
もうすぐ光秀の誕生日になる。信長の左腕とし、影で情報を網羅する男
味方でさえ、欺くその戦術、ふと現れては消える、読めない男だと言われるが、めいとっては最愛の男
「よし、出来た!」
汚れぬように薄い布をかけ、部屋の日の当たらぬ所へ置いたと同時に襖の向こうから声がかけられた
「めい、いるか?」
「あ、うん、どうぞ」
(セーフ…危ない危ない)
「どうしたんですか?」
「ああ、襟が綻んでいてな」
ちょんちょんと指さし、ここだと見せる
「ん?ここがほころんで…きゃっ//」
近づいたところで腕をつかみ胸の中に抱き込める
「ちょっ、み、光秀さんっ!!」
(相も変わらず無防備な奴だな)
「人を疑うことを知らんのか?まだまだ甘いな」
「だ、騙したんですか!!」
顔を真っ赤にしあたふたする姿を薄ら笑いを浮かべる光秀
「騙したとは人聞きの悪い、お前が可愛らしくてな、苛めたくなったのだ」
耳を甘噛しペロりと舐めあげる
「やっ//い、意地悪しないでくださいっ!!」
フッと鼻で笑うと
「嫌?嘘を付け。意地悪されるの好きだろ?」
追い打ちをかけ、耳元で囁くと、スルリと着物の裾を割る
はだけた足元を撫であげるとギュッとしがみつく
(もっと苛めたいが今はこのくらいにしておくか)
「だ、だめっっ…」
「ほお?着物が綻んでいるのは本当だ。ここがな」
袖を見せると、確かに少し糸が解けている
「っ……本当の事を早く言ってください!!」
光秀の腕から開放され、頬をふくらませたまま針箱を取り袖を直し始める
(お昼間なのに誰か来たら恥ずかしいよ//)