第21章 空に舞う花~光秀~【R18】
思わず光秀に背を向け丸く蹲るようにして布団に潜り込む
(あぁ…もう…やだやだ…だ、大の字で…しかも…)
頭をぶんぶん振り布団の中で踠く
「くくっ、お前は相変わらず唆す甲斐があるな」
(…また騙された…)
「ひ、酷いです…いつもいつも」
嘘だとわかった時にはもう遅い
布団から頭を少し出しちらりと光秀を見て
「もう、光秀さんなんか知りません!!」
ぷいっと顔を背け寝ることにした
(好きだけど…優しい光秀さんって…凄く少ない…)
振り回されては時に優しく、好きだと口付けられた時はとても嬉しかった。けれど釣った魚に餌はやらぬ様な言動に一抹の不安を覚えた
(優しい光秀さんが凄く好きなのに…)
考えず朝が来るまで寝ようと思った矢先
「きゃっ…」
後ろから優しく抱きしめられた
「そう怒るな。俺はお前さえ居てくれればいい」
「み、光秀…さん…」
顔を向ければ優しく唇を喰われた
「んっ…」
ちゅっと儚い水温を立て抱きしめる腕に力がこもり
「お前の健気でころころと変わる表情、いつも俺を呼ぶ声、俺にはないものをお前は持っている。そんなお前を愛している」
肩に顔を埋め吐息が耳にかかる
その声は甘く優しく体に染み渡り安堵と愛おしさが募った
「ちょっと意地悪な所も私にだけ見せてくれるその優しい光秀さんも好きです」
手に手を重ね呟いく
誰も知らない優しくて甘い光秀のもう一つの顔
(私だけが知ってる本当の光秀さん)
優しさと温もりに包まれながら夜明けまでの刻、吉夢が二人を包み込んだ
終