第20章 始まりの奏~三成~
賑やかな囃子の音、提灯の灯が多々灯されいつもよりずっと夜空が明るい
「凄い!いろんなお店があるね!」
子供の頃、親に手を引かれ、わくわくしながらやって来た夏祭りの記憶が蘇る
(現代とはちょっと違うけどでも、お祭りってわくわくする)
「おい、めい、迷子になるなよ?」
「えっ…あ、うん!」
「やはり安土の祭りは賑やかですね」
めいは政宗と三成と近くの神社で行われている夏祭りに来ていた
夏らしく浴衣を縫おうと、反物を買って帰る途中、政宗と遭遇し、話がまとまった
「たまには三成も城下の偵察をしないとな。戦術書ばっか読んでても意味ねえぞ」
(ふふ、三成くんらしい)
書物を読み出すとてこでも動かない、衣食住に無頓着な三成を誘い様々な店に目を輝かせた
「いい匂い!」
「美味そうだな、買うか」
「うん!」
お米を潰し小判型にしたものに味噌が塗られ香ばしい香りが漂う
出来立てを三人で頬張れば仄かな甘みが広がる
「美味しいー!」
「ああ、豆の甘みが広がって美味いな、どうだ?三成?」
「とっても茶色いです、あと、小判の様な形ですね」
微笑みを浮かべる三成と苦笑する政宗
「聞いた俺が悪かった」
(三成くん、やっぱり食べる事とか無頓着だよね…)
口の周りに付けた味噌をそっと、拭いくすっと笑を零す
「三成くん、付いてるよ」
(現代では名の通った武将だったはずなのに、子供っぽい所もあるんだ)
「めい様、ありがとうございます」
「秀吉はまだしも、めいまで世話を焼かれるとはな」
取り留めない話をしながら露店を見て回った