第12章 家康誕生祭~その手の陽だまり~ 【R18】
翌朝、目を覚ますと家康の姿はなかった
(家康??)
枕元に置かれた一通の文。めいの身体を気づかい起こさないように出かけたこと、昼過ぎには公務を終え帰ると書かれてある
(家康らしい)
大人しくちゃんと待ってなよ。と締めくくられた文に胸が熱くなる
そっと文を胸に当て幸せを噛み締めた
縁側でわさびに餌を与えると頭を擦り付けて甘えてくる
「もぉーわさびの甘えん坊」
喉を鳴らし戯れ付くわさびを構っていると後ろからぎゅっと抱きしめられた
「家康!!おかえりなさい」
(お迎え行けば良かったな…)
「ただいま」
少し不機嫌そうな家康にきょとんとするが、わさびはお構い無しに擦り寄ってくる
「あ、わさび!だめだよ!」
ふふっと笑って頭を撫でるとその手をやんわりと掴まれた
「わさびの事。構いすぎ」
(家康…やきもち焼いてるのかな?)
家康の顔を見ると不機嫌そうに目をそらされる
「家康…やきもち焼いてくれてるの?」
「馬鹿じゃないの?」
(こういう家康も好き)
ちゅっと頬に口づけを落とすと家康は驚きこちらを見る
「私が一番好きなのは家康だよ」
そっと胸に寄りかかるとうなじを手で掴まれ唇を優しく喰まれた
「っっ!!」
「俺はめいを愛してるから」
何度も愛し合っていくつもの朝を迎えていても、家康の言葉に翻弄されてしまう
(家康…好き…愛してる)
「家康、愛してるよ。ずっとそばに居てね」
時を超え最愛の人と過ごす一日に幸せを感じ陽だまりの中、家康との新しい時を刻みこんでいった
終