第12章 家康誕生祭~その手の陽だまり~ 【R18】
障子の向こうはまだ薄暗くほんのりと青白い
ふと、目を覚ますと愛する男の腕に抱かれ、暖かな気持ちが心を癒す
(家康の髪、柔らかい)
そっと髪を撫でると身じろぎした家康は目を覚ました
「ご、ごめん、起こしちゃったね…」
「まだ早いから少し寝なよ」
ギュッと引き寄せられ幸せを感じる
「うーん、でも、家康に朝餉に作りたいな」
(美味しいもの食べてほしいな…)
家康の顔を見つめると優しい微笑みを返されちゅっと口づけが落ちる
「だめ、ここにいて」
(家康のには叶わない…)
甘いまどろみを楽しみながら再び眠りに着いた
朝日を浴び、朝餉を取ると家康は信長の元へ出かけることになっている
「いってらっしゃい」
「いってくるね」
掠めるようなやわらかな口づけを落とし御殿を出る家康を見送る
(幸せだなぁ…)
何気ない1日の始まりに幸せを感じめいは針子部屋へ入った
(あと少し完成っと)
家康の誕生日を祝うため着物を作り、残り生地でマフラーに見立てた首巻きを作っている
この時代、代用できるものはないが、せめて体を冷やさないものを…
そう願いひと針ひと針丁寧に針を落とし糸を切った
(後は、夕餉の支度っと♪)
葛籠に着物をしまい台所へと向かった