第11章 その手に触れる砂と籠 【R18】
ここ数日、モヤモヤして何か気が晴れない
(何か変ですね。とても不思議な心地です)
体調が悪い訳では無い。だが、書物を読んでいても頭に入らない。それは何なのか…
喉が乾き、台所へ水を飲みに来た
(めい様と政宗様?)
規則正しい包丁の音が響き渡り、手際よく料理が出来上がってゆく
「政宗、人参切ったよ」
「よし、鍋に入れて柔らかくなるまで煮るぞ」
ーーチクりーー
(何でしょう…とてももやもやします)
「あ、三成くん!どうしたの?」
「…」
三成は硬直した
「?三成くん?」
(何ていうか…とても輝いてます)
料理をする為に髪をまとめ割烹着を着ている姿に三成は見入っていた
「あ、すみません。お水を頂きに来たのですが」
「ちょっと待っててね。あ、政宗、湯のみ貰っていい?」
「ほら、落とすなよ」
「もぉー!落とさないよ!!」
ーーチクりーー
政宗を見て、顔が歪む
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
ふにゃふにゃ、笑う姿を見て、心底から笑みが零れる
「めい様は政宗様と何か作られているのですか?」
「うん、政宗に煮物の作り方を教えてもらってるの」
「あぁとっておきの美味い煮物をな」
水を飲み干し湯のみを手渡した。すぐ側で鍋の蓋がごとごとと音を立て始め
「あれ?何かこの鍋揺れてますね」
三成が鍋に手をつけた。が、手元をよく見ていなかった為、蓋ではなく、持ち手を触り火傷してしまった
「…っ!」
「み、三成くん!!」
「すぐに冷やせ」
桶に水をはりすぐに患部を冷やした
「大丈夫??痛い??」
めいは心配そうに三成の手を取り火傷の具合を見ている
「申し訳ございません。めい様にこのような事をさせてしまい」
「三成もめいもそそっかしいとこは似てんな」
呆れた声が響く。めいは政宗に料理を任せ、濡らした手拭いを三成の指に巻き付け自室へと案内した
「はい、これで大丈夫だよ。湯浴みをしたら、またこの薬を塗ってね」
「ありがとうございます」
めいの優しさが心を温める。もやが晴れ指先の痛みが走るがそれ以上の温かいものが三成を満たした