第40章 ~拾玖~HOME
「もしアタシが貴女の元にいたら...アタシはどんな手を使っても、どんな事をしてでも貴女を目覚めさせる方法を探していたと思います
もしかしたら、科学者という知識で無理やりにでも貴女を起こしていたかもしれない...
そう考えたら、尸魂界で貴女が目覚めるのを待つなんて出来なかった...」
「喜助さん...」
「それなのに......僕はサラさんがいつ目を覚ますか、覚まさないかも判らない状況に、このまま覚まさなければいいとも思いました
目が覚めたら、貴女はまた死神として闘い、そして傷つく...心の強い貴女は其れを受け入れる」
サラは思わず喜助の手に触れる
「貴女は強いです。僕には出来ない
貴女の強さが羨ましく思う気持ちはあります。けど、その反面無くてよかったと思う気持ちもあるんです
...やっぱり、女の人って強いッス」
力なく笑い、ギュッと掴まれた手は少し震えていて
「僕は貴女の強さが怖い...いなくならないでください...」
喜助の声はか細く震えていて、サラは安心させるように喜助の手を握りしめた
「喜助さん…私ね、人の上に立つという事は命を投げ出す覚悟を括るという事だと思っていました」
喜助が顔を上げる
「命を投げ出す覚悟じゃなく、命を預ける覚悟を括るという事。相手を想うことで心が在る。相手を信じることで心が存在する…そういうことだったんです」
サラは小さく息を付くと、喜助に笑みを浮かべた
「私がまたこうして生きているのも、心が存在したからだと思うんです。喜助さんが想ってくれたみたいに皆も私を想ってくれた...だからありがとう」
「お礼なんて...僕は何もしてないッスよ。全ては献身的な死神の皆さんで....隊に戻るんでしょう?」
そう言った喜助はどこか寂しそうで
「平子さん達も隊に戻れましたしね。隊長の空きは…なさそうッスけど、サラさんは出世とかに興味無さそうッスからねー...」
ハハッと笑う喜助はやはり寂しそうで、サラは思わず笑ってしまった