第40章 ~拾玖~HOME
瀞霊廷の外れに立てられた墓標の前に修兵はいた
こうして月命日の度に此処を訪れる
前上司を思い浮かべ佇んでいると、その気配に振り返った
「サラ...」
暫くお互いに黙ったまま墓標を見つめていると、おもむろに口を開く
「...今から思えば、今回の前後で一番変わったのは、藍染ではなく、東仙隊長なのかもしれない」
「修兵?」
「もしかして、平和を愛する東仙隊長と言うのは、最初から東仙隊長が作った偽の人格だったのかも…。だとしたら、大したもんだな」
修兵はハハッと笑った
「...でも、見る限り戦いを憎むという気持ちは根底としてあったんじゃないかしら」
「?」
「だからこそ、修兵が尊敬して、それでもまだ隊長と呼べる消えない敬義の念だと思うから」
「.....そうだな」
そしてまた静寂が訪れる
お互いに相手は違えど、亡くなった隊長のコトを想っているのだろう
サラの瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた
「...また泣きたくなったらいつでも肩貸すけど」
「...ありがとう修兵でも...大丈夫。私もいつまでも泣き虫じゃいられないから」
「...そうか」
涙を拭って真っ直ぐに前を見据えるサラに、修兵はさっきよりも少し穏やかに笑い向き直った
「サラ......俺....強くなる 絶対に」
サラは一瞬、目を丸くするも、すぐに微笑んだ
「修兵なら成れる...頑張って」
綺麗に笑ったサラは、少し俯いて修兵の手を握る
「あのね、修兵...私―――――」
そう言って顔を上げた直後、額に温かさを感じた
「......修兵?」
「頑張れよ....」
修兵は微笑むと、踵を返し歩いていった
「(今までは全部私からだったのに...)ありがとう修兵...」
サラは額に手を当てながら呟いた