第39章 ~拾捌半~CRY2
「ッっっ……ハッっ…!!!」
「サラッッ!!!!!!」
辺りから悲痛な叫びが聞こえる
藍染はそれさえも嬉しそうに刀を抜き取った
つもりだった
だが、サラの体を貫いた斬魄刀は抜けることはない
「………?」
見ると、サラが刀身を握り締めそれを防いでいる
「貴方は…本物みたいね…」
サラの掌から血が溢れ藍染の手を濡らす
そして次の瞬間、藍染の腹部から血が噴き出した
藍染は自分の腹部をゆっくりと仰ぐと、サラから斬魄刀を引き抜いた
「クッ………!!!」
サラの腹部からも血が滴り落ち、痛みで視界が歪み、膝から崩れ落ちる
それでも藍染から目を離さず睨みつけると藍染は笑っていた
「骨を切って肉を断つ…私の鏡花水月に敵わないと踏んで、はなからこれを狙っていたのか…」
藍染はサラに近づき顎を掴むと自身に目線を合わさせた
「高みとはなんだ?」
突然紡がれた藍染の問いに眉を顰める
「強さは理性を緩ませる。耐え抜いた理性も、傲りが過ぎると緊張を忘れるものだ」
そんな時、自分の中の闇に潜む獣を感じた
潜む獣は本性…
普段は理性の内に飼いならされ、大体は大人しくいい子にしていることだろう
「...だが..本当はそうじゃない」
自分の普段の理性の鎖を引き千切り、自由に疾走する機会を待っている
獲物を探し、追い詰め、喰らい尽くすために、自分の理性の鎖がもう少し・・そう、もう少しだけ緩むのを息をひそめて待っている
「何が...言いたいの」
「理性とは必要だから培われるものなのだよ。必要でもないなら、理性など育たない。理性的と言われる者は、その身に制御するに難しい程の獣の本性があるからこそ、その獣を押さえるべく理性を発達させるものなのだ
サラ、君は私が見た中で一番の理性者だ」
藍染はサラの髪を掴むと自分に引き寄せるように掴み上げた