第36章 ~拾漆~SHAKY
自宮へ戻るその途中、ウルキオラは自身の手に貫かれた死神が脳裏に過る
あの死神が戦いを経るごとに強くなることは予想していた
先日のグリムジョーとの戦いを中断させたあの時も新たな能力を手に入れた事を感知していた
だがその程度か
あの時俺はそう言った。そして今も同じ事を言うだろう
その程度では俺が本気で戦う相手では無い
もっと手ごたえのある相手になると思っていた
俺の想像を超える強さをつけてくるのではないかと恐らく俺はどこかで期待していたのだろう
だが実際は違った
あの死神は確かに虚化という能力をつけてはいたがその持続時間はわずか10秒ほど
その程度の持続時間で俺を倒そうなどと甘いの一言に尽きるな
現実は予想を下回るものだ
あの死神もその一つにすぎないそう思いつつ自宮に戻る
サラの様子を見ようと部屋へ向かうとすぐに異常に気がついた
派手に壊された扉、居る筈のない藍染様の傍付きの女達
この女達が居る理由は直ぐに思い浮かんだ
藍染様の部屋を出る時の女達の様子を見れば恐らくサラに嫌がらせにでも来たのだろう
そんな事をしてこの俺が許すとでも思ったのか?
女達の怯えた様子…だがこれは俺を見て初めて怯えているのではない。その前に既に何かあった顔だ
この残された霊圧は――
「誰がこれを?」
確信を抱きつつ問う
帰ってきた答えは俺の予想と合致した