第29章 ~拾柶~GOOD-BYE
「聴いてくれるのね…」
サラは少し安心した様に笑みを浮かべる
「何だ」
「…私を連れていくと言ったけどどうするつもり?私は簡単には連れていけないわよ」
「自分の強さを露呈するな。方法はいくらでもある」
「それが出来たとして私が従うかは別の話でしょう?私は首輪で繋がれようが手足をもがれようが従わないわ」
「話が見えん…何が言いたい」
「織姫を返してくれたら貴方達の指示に従う」
「それで俺達が譲歩すると思うか?お前は藍染様のお気に入り…ただそれだけの存在だ
あの能力を手に入れお前を連れていく、それだけだ」
その言葉にサラが黙るのを見てウルキオラは考えを訂する
「(過大評価し過ぎたか…所詮ここまでの女)…もう言う事は無いようだな」
私は拳を握ると微かに笑みを浮かべる
「…何がおかしい」
「……私が…その能力を持っていると言ったら?」
ウルキオラはその言葉にピクッと反応を示す
「…付くならもっとましな嘘を付け」
「取引で嘘をつくほど俗惚けしてないわ」
サラの瞳は真っ直ぐで曇り一つ無くウルキオラを見詰めている。その瞳に囚われる様に目が放せなくなる
「お前…」
ウルキオラは藍染もこの瞳に囚われたのかと考えていた
「?…どうかした?」
「――…いや…仮に能力があるとして何故仲間を助けない 霊圧を感じると回復してないようだが」
「本当ならすぐにでも治したいけどそうしたら皆にバレてしまうでしょ?そしたらこの取引が成り立たないもの」
「―――!!!」
確かに強さに加え治癒に長けているなら奴等は女を助ける為にこの女を要として向かってくる…
戦闘能力だけでも目測でNo.5以下より強い
なら崩玉が覚醒するまで多大な被害は避けたい
この女はそれまで考えてこの取引を持ち出したのか
全ては井上織姫…いや全ての仲間を助ける為に――
「信じてもいいのか?」
「嘘なら連れていった後、殺して織姫を拐えばいい…嘘じゃないけど」
「二時間後…此処で」
ウルキオラはそう言うと虚圏に帰っていった
サラは俯くとギュッと固く目を閉じていた