第27章 ~拾参~RECOVERY
そして静まりかえった宮殿の長い廊下を一人の破面が歩いていた。大きな扉を開けると、いつも藍染の座っている玉座があり、その傍らには崩玉
髭を生やし 左側頭部から左目にかけて仮面を被った破面、パトラスは崩玉に目を向け笑みを零した
「あぁ、思ったとおりだ此処にあったか」
パトラスは崩玉にソッと手を伸ばした
「何をしている」
気配もなく、声だけが広間に響き渡りパトラスが振り向くと扉の前にウルキオラが立っていた
「此処は藍染様の許可を得ず入っていい場所ではないパトラス」
「気に入らんな。お前は常に同じことを言う」
「何がだ?」
「藍染様、藍染様…他の十刃も同様理解しがたい…不愉快だ。奴は死神だ。何故我々虚が死神の言いなりにならなければならない
魂魄を食し死神を粉砕してきたこれまでの生業を捨てなければならない。何故自由を奪われなければならないあのような者の為に!」
一瞬でウルキオラの元へ移動したパトラスはウルキオラの仮面を拳で掠めた
「貴様も知っているはずだ。藍染が我等虚を使って実験を繰り返してきた事を…」
「知っている。それが何だ?」
「あの者が現われて以来ここは変わってしまった。私は死神に従う気など無いのだよ」
「それで?」
「ウルキオラ…この崩玉を使い我等がこの世界を収めると言うのは如何だ?」
パトラスはウルキオラから離れるとゆっくりと崩玉へ近づいた
「やめておけ。十刃にもなれんお前に何が出来る?」
「賛同は得られぬか。では仕方が無いね」
ザンッと背後から別の破面がウルキオラの背中を切り裂いた
「!?」
振り向た瞬間、また別の破面がウルキオラの背中に刃を突き立てる
「既に賛同者は二人居てね」
「パトラス!く…そ…」
グラリと揺れたウルキオラの目の前に移動したパトラスが斬魄刀を構える
「残念だよ」
そう言うとウルキオラを真正面から真っ二つに斬り裂いた
「…十刃も落ちたものだ。君は嫌いではなかったのだがね」