第26章 ~拾弐半~LIBERATION2
「…うん…そうだね…」
桃は何かを決意したようにギュッと手を握り締めた
「ねぇ訊いていい日番谷君?」
「何だ?」
「……日番谷くんはこれから…藍染隊長と戦うの?」
「桃……」
「そうだ」
「藍染隊長を殺すの?お願い藍染隊長を助けてあげて!」
「………」
その声は事実を受け止めきれない桃の悲痛な叫びのように聞こえる
「そりゃ藍染隊長のしてることは悪いことだよ…だけどきっと藍染隊長にもどうにもならない理由があると思うの…
サラちゃん知ってた?藍染隊長はサラちゃんの事好きなんだよ?藍染隊長、サラちゃんに理由とか言ってないかなぁ…」
「桃……」
「バカ野郎…本気でコイツの事好きなら好きなヤツを殺そうとするかよ…」
「そうよ!きっと藍染隊長は市丸隊長か誰かにムリヤリ――」
すると突然、桃の目の前に手が翳され桃はそのままふっと意識を失い倒れると副隊長の雀部長次郎に抱きかかえられた
「済まんの…本人の意思を尊重して話をさせたんじゃが、どうやらまだ早かったようじゃ。かえって辛い思いをさせてしまったの」
「・・・」
山本はサラに目を向けるとサラは力なく笑った
「いえ…ありがとうございました」
冬獅郎はそう言うと総隊長に頭を下げた
「日番谷隊長…」
「失礼します」
冬獅郎は山本を遮ると通信を切った。そして何も映っていないモニターをずっと見つめている
「冬獅郎…」
サラは、ふと冬獅郎の手を見た。冬獅郎は痛いくらいに拳を握りしめていて、思わずソッとその手を握る
「手が可哀想よ…」
その瞬間、冬獅郎はサラに抱きついた
「悪りぃ…少しだけ…」
「うん…」
サラもそんな冬獅郎を優しく抱きしめ返した