第21章 ~拾半々~EIGHT3
現世――
空座町上空に突如亀裂が入り、そこから何かが落ちるように飛び出す
「何か落ちてきたぞ!?」
辺りにいた人たちはざわめきながらその原因の元を見ていた
「はぁー…何度か来たが相変わらず現世はつまんないとこだな。霊子が薄くて息しずらいしよぉ」
空座町に降り立った破面二人組の一人、下顎骨を象った仮面に色黒の巨漢の男ヤミーが文句を放つ
「文句をたれるな。俺は一人で良いと言ったはずだ。来たがったのはお前だぞヤミー」
その隣には角が生えた仮面を左頭部に被った痩身で真っ白な肌をした黒髪の男ウルキオラ。喉元には孔が空いている
「へいへいすいませんすいません」
降りた際にあいた大きな穴の中に居る二人は穴の外へ出ようと歩き出す
「隕石か?」
「何もねぇぞ」
「じゃぁ何が落ちたんだよ」
大きな穴を覗き込んでいる人々には当然の如く二人の姿は見えていない
「なんだ?こいつ等霊力もねぇのに寄ってくるんじゃねぇよ」
穴から出たヤミーは突然息を吸いこみ始めた。その途端、辺りにいた人たちは次々倒れていく
「ぶはぁ~マジィ…」
「当たり前だ。そんな薄い魂美味いわけないだろう」
「だってコイツらが人の事、見世物みたいにジロジロみやがるからよぉ」
「連中に俺達の姿は見えん。お前を見ていたわけじゃない」
「わかっててもムカつくんだよ。で?結局何匹殺せばいいんだっけか?」
「一人だ。それ以外は殺す必要はない」
「こんなけウジャウジャいる中から殺せるのは一匹かよ」
「今、現世でまともに戦える霊圧を持ってるのは多くて四人だと聞いている。それ以外は塵だ。探し出すのは容易い。それともう一つの目的を忘れるな…」
倒れている人を眺めるウルキオラの目に一人の人物が写った
「驚いたな…生き残りがいるぞ」
そこには走り込みをしていて、偶々そこに居合わせた竜貴の姿があった