第15章 落涙
「おはようございます。」
今日で終わる収録。
初めはあんなに嬉しかったはずの現場に来るのが怖くなった。
あれから月島さんとは、必要最低限しか接しない。
岡本さんとも、なかなか話せずに時間だけが過ぎていく。
それでも、月島さんと岡本さんが話をしている姿を見るのはイヤ。
好きじゃないんでしょ?
自分に言い聞かせては、ため息をつく。
分かっていても認めるのが怖い。
自分の事が分からなくて怖い。
もう『好き』なんて感情自体、私の中から無くなればいいとさえ思うようになった。
「ありがとうございました。」
「また、よろしくお願いしますね。」
「次にこのメンバーで会えるのは、打ち上げかな?」
こんな会話が飛び交う。