第13章 百態
何で、月島さんって色んな人に愛されるんだろう。
廊下の向こうから聞こえる声。
どうして?
何で…いつも月島さんなの…?
「お相手は、入野さんだと思ってましたが…」
「中村さんだったんですね?」
「別に盗み聞きしてた訳じゃないですよ?」
「聞こえちゃったんです。」
精一杯の笑顔を向ける。
「………」
「月島さんって、お綺麗ですしモテるんですね?」
「羨ましい。」
『羨ましい』これは本音。
何で、この人は愛されるんだろう?
何で、私は愛されないんだろう?
月島さんを見つめる。
「じゃあ、帰るね。また来週。」
軽く会釈をして視線を外し背を向ける月島さん。
「何で答えてくれないんですか?」
視界が滲む。
「私、本気なんです!!」
「邪魔しないで下さい!」
「私、本当に岡本さんが……好きなんです…。」
瞬きをすれば、涙が頬を伝う。
私って…本当は泣くほど岡本さんの事好きなんだ……。
知らなかったな。
泣きながらも客観的に見られる自分に驚いた。