第10章 虚威
「おい。」
腕を掴まれ、部屋に引き込まれ、壁に身体を押し付けられた。
驚きで声も出ない。
「お前さ…何がしたい訳?」
「達央さん…」
名前を呼んで、顔を伏せる。
「あんな場所で、あれはマズいだろ。」
「普段のお前…微塵も感じられなかったけど…」
「……です…」
「あ?」
「…さいです…」
「あ”?」
「うるさいです!達央さんには、関係ないじゃないですか!」
「お前な…」
顎を掴まれ、上を向けられる。
「人が珍しく心配してやってんのに、何?その態度。」
「気に入らねーな?」
キッと睨んで、掴まれた腕を払おうとするものの動きそうにもない。
「離して下さい。」
「今は、誰とも話したくないんです。」
見下ろす視線を再び睨む。
「攻撃的だこと。」