第27章 要撃
「おー。タツ~。」
少し離れた所にいるタツを呼び止める。
「櫻井さん。お疲れさまです。」
「どうしたんですか?」
「んー。ちょっと聞きたい事があってね。」
ニッと笑うと怪訝そうな顔。
「この前の京都って何処に泊まってた?」
「△△ですけど。」
………見つけた。
ふーん。やっぱり相手はタツなんだ。
「あー。翼と同じとこね。」
「そっかそっか~。」
「用が済んだのなら、そろそろいいですか?」
「あ。うん。引き止めちゃって悪かったね。」
クルリと向きを変えるタツ。
その背中にもう一度声を掛ける。
「な?」
「日菜乃ってお前のオンナじゃないんだよな?」
チラリとこちらを見ながら不機嫌そうに答える。
「は?何言ってんですか?」
「ちょっと噂を聞いたから、確認。」
「アイツとは何でも無いですよ。」
溜息交じりに答えると呆れたように歩みを進める。
「そっかそっか。」
「じゃあ、俺が手を出しても問題ないね。」
「………俺に言う必要あります?」
今度は、こちらをチラッとも見ずに答える。
「あはは。念のため、念のため。」
明らかに不機嫌なタツ。
全く…飽きないよ。
日菜乃もお前も、からかい甲斐があるんだから。