第24章 予覚
「日菜乃は、このまま帰るの?」
「はい。本当は、お酒飲みに行きたかったんですけど…ダメって言われて。」
「櫻井さんは、今日はこちらに泊まるんですか?」
「うん。明日の朝帰るよ。」
「こっちにお世話になった人がいて、ご挨拶に行くからね。」
「そうなんですね…」
会話が続かない…
キョロキョロと周りを見渡すもネタなんて見つからない。
「あれー?櫻井さん!こんなとこにいたんですか?」
高い声に体がビクッと跳ねる。
「おー。翼じゃん?次まで暇だろ?こっち来いよ。」
「フラフラしてたから、遠慮無くお邪魔しま~す。」
代永さんは、私の隣に座る。
………
大丈夫。
顔を見られた訳じゃないんだから。
普通通り普通通り。
自分に言い聞かせる。
そのせいか、隣から向けられた視線に気付く余裕も無かった。