第17章 昏迷
「……………そうですね…。」
「好かれるのは、嬉しくない訳では無いです。」
「ただ……。」
「余裕が無い時に『好き好き』言われるのは…はっきり言えば迷惑です。」
「お恥ずかしい話なんですけど。」
「懐いてくれる子に結構キツいこと言っちゃってるんですよね。」
「悪いとは思ってるんですけど。」
「ちょっと空気読めないって言うか…気持ちを抑えられないって言うか。」
「大して強くも無くせに、虚勢張ってるって言うか…」
「まぁ、若い子なんで『私!私!』ってなっちゃうんですかね…」
「ただ…何度突き放しても、嬉しそうに寄ってくるんですよ。」
「その度、胸は痛くなるんですけど…ね。」
「何で冷たい事言う僕の後にくっついて来るのか…」
「子犬みたいで…」
「って、僕こそ何言ってるんですかね?」
「すみません。」
笑っちゃう。
自分でもヒドいこと言ってるって自覚はあったみたい。
今、思い出しても結構キツいこと言ってるな。
もし、僕があやめさんに『話し掛けてこないで』なんて言われたら。
ヘコむな……。
もし。
あのコに会ったら……謝る?
………。
自分の株を上げたいから?
それとも、自分は好かれてるって優越感に浸りたいから?
自問自答。
うん…………そうなのかもしれない。
やっぱり、僕に懐いてくれるのは嬉しいんだよね。
少しでも良い先輩でいたいのかも。
散々な対応しておいて、最低だけど。