第6章 名前もない獣
そうか。そうだ。桜なんて綺麗すぎる名前
もう私の名前じゃない。
『はははっ!私は獣!』
彼女は微笑んで言った。
『私?私って誰のことを言ってるの?名前もない獣さん……大切な人を守れなかったのはあなたが無力な女だったからよ?』
………。無力な女。
『………。』
『あなたはそんなに女でいたいの?
何もできない。無力な女でいいの?』
『私は………もう何も失いたくない。
……強くなりたい。』
『女でいたって強くなれないわよ?』
すると彼女は微笑んで言った
『最後に聞くわ。あなたは男?女?』
『……男。俺は………おとこだ。』
するといつの間にか目の前に広がっていた闇は消えていた。