第29章 華を蝕む闇

その時

『赤葦くん…私を好きなら…
話して…』

姫凪さんから小さく漏れた言葉

『…話を聞いてもキミを愛せるかは
分からない…
でも…このまま抱かれ続けたら
一生愛せない
だからお願い…こんな事…しないで…』

零れ落ちる涙
そして
俺をシッカリ映す瞳に捕らわれ
俺の身体はやっと動きを止めた

『赤葦くん…ありがと…
抜いてくれる？』

「抜きたくない…離したくない…」

それでも本能はまだ
理性の機能を阻んで
姫凪さんを離そうとしない