第16章 あなたに
梅「ほれもう少しじゃ、頑張りなさい」
萩「は、はい・・・・。ふぅっ、はぁっはぁっ」
梅「千鶴お湯をもっと持って来ておくれ」
千鶴「はい!」
炊事場へと向かうべく襖を開くと
近藤「産まれたのか千鶴君!?」
千鶴「近藤さんそこにいると邪魔です!?
お湯が必要なんです」
近藤「すまないお湯だなすぐに・・・」
一「これを使ってくれ」
千鶴「ありがとうございます斉藤さん」
土方「近藤さんの子供じゃねえだろう
大人しく広間で待ってて下さい」
溜息を吐きながら近藤を引きずるように広間へと向かう
総司「あれ、どうしたんですか近藤さん」
近藤「総司!なんでお前はそんなに落ち着いていられるんだ!?」
左之「近藤さんは慌てすぎだぜ」
新八「そうそう、近藤さんの子供じゃねえんだぞ」
平助「でも確かになんでそんなに落ち着いてんだ総司
心配じゃねえの?」
心配する平助に対して
にこにこ微笑みを浮かべる
総司「萩なら大丈夫だよ」
土方「そうだろうな、屯所で萩に勝てるような奴はそうそういねぇしな」
一「総司、梅殿が呼んでいる」
総司「分かった、行ってくる」
一と入れ違いに広間を出ていく
総司「梅さん、どうしたの?」
梅「お入りなさい。」
襖が開き中へと入っていく
千鶴「沖田さん姉様の手を握ってあげて下さい」
萩「そ、そうじ・・・はぁっ・・・てを・・・」
萩の横に膝をつきそっと手を取る
総司「大丈夫ここにいるよ」
握った手をギュッと握りしめる
梅「そろそろいいじゃろう。
萩いいかい?今度痛みの波が来たらいきむんじゃよ」
コクコクと頷く
萩「はぁっ・・・んんっっ」
梅「頭が少し出てきた、もう少しじゃ」
千鶴「姉様、頑張って」
額の汗を拭いながら声をかける
萩「っんーーー!?」
やや「オギャー!」
萩「はぁはぁ・・・」
梅「元気な男の子じゃ。千鶴、産湯に入れておやり」
千鶴「はい!」
抱き上げるとお湯を張った桶で体を洗い
布に包み萩の胸の上にそっと下す
総司「ご苦労様。僕を父親にしてくれてありがとう萩」