第3章 たつ兄の秘密
大倉side
一人きりの部屋の中
スマホを見つめてると…
出てくれへんて分かってんのに
指は勝手に発信ボタンを押していて
もう聞きあきるぐらい聞いた
コール音が耳に聞こえてくる…
何度目かのコール音の後
もういい加減諦めて(笑)?
そう自分に言い聞かせて
電話を切ろうとした瞬間
"プツリ"と音が消え
静かな息遣いが聞こえてくる。
「なのか!?」
そう呼び掛けてみても返事はない…
でも
それでもいい…
こうして聞いてくれるだけで
十分なんやから……
「なのか…昨日はごめんな…?
横山くんに嘘つかせてまでデートに誘って…
なのかにキスまでして……
でもな……違うから……?
いい加減な気持ちとかじゃなくて………」
そこまで言った時
電話の向こうから言葉を遮るように
「わけ…わ…ら…ん……(笑)」
なんて…小さな声がして……
「えっ………?」
そう聞き返した俺に
「意味が分からんいうとんねん!?」
そう叫ぶすばるくんの声が
耳に響いた………