第1章 365日家族
「お兄ちゃん…起きて…?
お兄ちゃん…お兄ちゃん……」
俺はこの優しい声に
今まで何度こうして
起こされてきたんやろ…?
心地よくて安心する…
俺の妹なのかの声……
なのかがまだ小学生の時に
両親がそろって急に他界して
そこから俺たちの人生は
貧乏なりに幸せな人生から
ただの貧乏な人生にがらりと一変した。
二人きりになった俺となのかに残されたんは
この小さな家とわずかなお金だけで
両親を恋しがって泣きじゃくる
なのかを抱きしめながら思ったんや
俺がこいつを守るんやって……
だから俺は
女なんかに興味もない
恋愛なんかしてる暇もない
俺が何に変えても守らなあかん
大切な人…
それは俺のたった一人の家族
大切な大切な俺の妹
なのかたった一人だけやから…………