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花言葉を君に 【ONE PIECE】 現パロ

第12章 LILAC





ー土曜日ー

本来なら休日だった。
急患が入り、急に手術が決まった。
患者は大物政治家の妻。
心臓バイパス手術が必要な患者で、容態が急変したのだ。
数十時間の長丁場、無事手術は成功した。

「お疲れ様」

医局に向かう途中、缶コーヒーを差し出すペンギン。
短く返事を返し、それを受け取る。

「昨日は悪かったな」

ペンギンが土曜も仕事だとは思わなかった。
分かっていたらパーティーに誘わなかった。

「いいよ、面白かったから」

ロー先生のあんな顔は一生に一度だと、笑うペンギンを俺は無視しておく。




女、1人のためにあんな風に必死になるとは思わなかった。

気にはなっていた女だったが好みのタイプでしかなく、発展は無いだろうと思ってた。
だが、あのパーティーで俺は衝撃の事実を知った。

あの女の名がだと・・・。
忘れもしないあの子と同じ名。
そして、俺のフルネームを知った時のの驚いた顔。

半信半疑だった俺は、それでもから離れたくなかった。
を狙う男達の存在に気付き、嫉妬した。
あの容姿で狙う男がいない方が可笑しいが 揃ったメンツにこの俺が焦った。

「あの後、どうなったんだ?」

部屋には来ていないペンギン。
興味深げな顔に俺は、ノーコメントを貫く。

あの時確信したんだ。
は、あの子だと・・・。

舌足らずの言葉で甘く呼ぶ、懐かしい名。
俺の周りで唯一、その名を使うのはあの子しかいなかった。

緊急呼び出しで、特に話す事なく帰ってしまった。
あの時誘った事を覚えているだろうか?
酔っ払いの発言だと、十分に理解しているが膨れ上がるのは優越感と期待。

連絡先さえ交換していない。
会う手段が無い分かっているのに俺の心は、明日の事でいっぱいだ。



「ぉぃ、ぉぃ、ローさんッ!」

思考の渦に飲み込まれていて反応が遅くなった。
ペンギンに視線を向けると前を向いたまま、俺の肩を叩いている。

どうしたんだ?

ペンギンの視線の先に俺も視線を走らせる。

えっ・・・?

そこには、ほのかに笑うが立っていた。







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