第29章 MIMOSA
【オマケ】
【で、お姫さんは今どこにいるんだ】
「・・それが、その・・・」
若様が怖い。
優しい口調だが地を這うような声色。
姫が部屋を飛び出し、ヴェルゴが追い掛けたが一足先に逃げられた。
その報告を私がする事になったがこんなに怒りを露わにするとは思っていなかった。
【もういい、シュガー。ヴェルゴに代われ】
そう言われヴェルゴに携帯を渡す。
返事を短く返すヴェルゴを見ながら私はトレーボルにこっそり話しかけた。
「ねぇ、トレーボル。
もしかして、もしかしてよ」
「皆まで言うな、シュガー。
言いたい事はわかっている、あの様子だとお二人は恋人同士ではない」
や、やっぱり!!
でも!でもよ!
あんな若様の優しい雰囲気みたら誰だってそう思ってしまう。
姫だって、若様に心許してる感じだし!
付き合ってないって嘘だって思ってしまうのが当たり前だよ。
「思えば姫の言動の数々、今までの女と違ってはいたが甘んじ受け取りはしていた。
だが、今回の事で怒った様子を察するに間違いではない」
断言するトレーボルにヴェルゴが頭を抱えて言った。
「今日はこれで解散だ。
後はドフィに任せる事になった」
「ねぇ!あの2人付き合ってなかったの?」
「・・・微妙なところだな」
だが、大切にしている と、言うヴェルゴ。
やはり付き合ってなくとも両想いなのは間違いない。
だとすれば!
「シュガー止めておけ」
「そうだ他人の色恋に茶々を入れるべきではない」
両手を熱く握る私に気付いてか、シラけた顔の2人。
だが、モタモタしている何処の馬の骨かわからない男に姫を取られる可能性だってある。
私、1人闘志を燃やしていた。
fin