第20章 SHEPHERD’S PURSE
「大丈夫か?!」
そっと頬に触れる優しい手。
その手に自分の手を重ねる。
「お前・・何かあったのか?」
『ううん、ゾロ来てくれてありがとう』
そう、来てくれたのはゾロだった。
ハンコックが考えたアイデアは、同じ内容のメールを個別に作って同時に送る事。
そして、1番最初に来た人と付き合う。
簡単で怒りを買うアイデアだが、ゾロはハンコックの説明を聞きニヤリと笑った。
「それで俺が1番か?」
「ええ、お主が1番最初じゃ。
寝ているかと思っておったが違ったようじゃな」
「偶然にもここに向かってたんだよ」
「そうか。
、これはキッカケにすぎないどうするかはそなたが決めよ」
ハンコックは他の者はわらわが止める、ゆっくりと話せと部屋を出て行った。
手を離した私は、自分の手をギュッと握ってゾロに話かけた。
『・・ゾロ怒ってる、よね?』
「何故?」
『だって、メールで騙した事になるし・・
それにとても安易だし・・』
「別に?1番じゃなきゃ文句の1つも言いたくなるが俺が1番だろ?
あの女も言ってただろ、これはキッカケだってなッ」
固く握っていた手にゾロの手が乗る。
優しい手付きで解いた手をギュッと握ってくれた。
「好きだ。
俺と付き合ってくれ」
『・・・』
ハッキリと言い切った言葉。
胸に突き刺さる。
「返事は?」
『・・はい』
そう、口にした瞬間グイッと引き寄せられた。
フワッと香る香水の匂いに気付いた時には、ゾロに抱きしめられていた。
「大事にする。
俺はお前だけだ、安心しろ」
『・・うん』
ゆっくりゾロの背中に腕を回す。
そして、その大きな身体にこの身を預けた。
ドキドキ、胸が高鳴る。
少し離れた身体。
顎を持ち上げられる。
重なろうとした瞬間。
「どうゆう事だッッッ!!!」
部屋の外から騒々しい声が聞こえる。
ハンコックが上手く止めて、声が遠くなった。
『・・・やっぱりみ
「今更無かった事にしてくれとかナシだからな」
『ううん、違うの。
みんなには私から伝えたいと思って』
ハンコックの考えではあるけど、任せたままではいられない。
ちゃんと自分で決着をつけなきゃいけないと思った。