【うたプリ】歌い手Minori、トリップします……?
第5章 進化の予兆
♪~
黒「ア゛?誰だ」
貴「ゴメン、僕だ」
仕事用に用意しておいたスマホから、また電話が鳴った。
朝同様かけてきた相手は、シャイニーだった。
ピッ
貴『もしもし』
早『一つ伝え忘れてたことがありましたーー!!新曲の発売日は、クリスマスライブ当日でーーす!!!』
………………はっ?
えっ、クリスマスライブって確か12月25日だよ?
レコーディングのことも考えれば、12月10日辺りまで完成させろってことかよ。
早『それからー、Miss.ハルネもMinoriとして一緒に歌ったversionの方も考えておいてくださーーい!!!』
貴『……………ちょっと待った。それどういうこと』
早『言葉通りの意味でーーす。詳しい話は帰ってきてからでーーす!!でではではー、見学頑張ってちょーーだい!!!(ピッ』
……………切られた。
これからシャイニーのこと、用件人間って呼ぼうかな?
いや、だって本当に用件しか喋ってないし?
全然反論させてくれないし?
貴「………電話の内容、聞こえてた?」
カ「あぁ」
寿「相変わらずの無茶ぶりだねぇ~;」
黒「親父の野郎、姫香のことも考えやがれ」
美「決まったことを言っても仕方ない。ヒメカ、大丈夫?」
皆が口々に言う。
僕のことを心配してくれてるのがわかる。
それに、藍の「大丈夫」には主に二つの意味が含まれていた。
これから作る曲のこと、僕の体のことだ。
いきなりこの4人の曲っていうのは苦労するだろう。
でも、やりがいのある仕事だと思ってる。
体の方は、多分大丈夫だろう。
貴「曲の方はやってみせるよ。ぶっ倒れない程度に頑張るさ」
美「つまり、倒れる寸前までやるってことだね」
貴「うっ」
藍に痛いとこ付かれた。
だって、初めての仕事だから失敗したくないし、皆に迷惑かけたくないし………。
カ「気負う必要はない。何かあったら俺に言え」
貴「カミュ………」
黒「そいつの言う通りだ。何かあったら“おれを”頼れ」
貴「蘭丸…」
二人がこう言ってくれてるんだ。
頑張らなくちゃ。
カ「ふん。貴様ごときに姫香は任されん。俺だけで十分だ」
黒「ア゛ア゛」
…………ちょっと喧嘩は他所でしてほしいけど。