【うたプリ】歌い手Minori、トリップします……?
第3章 見知らぬ世界
黒崎先輩がニヤリとした顔で返してきた。
その顔と目には、“期待”が込められていた。
………正直言って、嬉しい。
黒崎先輩に期待されてると思うと、嬉しくないなんて人はいないはずだからね。
カ「精々、俺をがっかりさせないようにな」
貴「勿論ですよ。僕は音楽が好きなんで、好きなもので人をがっかりさせたくありません」
カ「ふん」
カミュ先輩は冷たく当たってるつもりだろうけど、あの言葉には、“がっかりさせないよう頑張れ”って意味が込められている気がする。
今日初めて会ったばっかだけど、僕がMinoriと言ってから多少雰囲気が優しくなった。
少しだけ、僕に期待してくれてるんじゃって思う。
美「君がMinoriである確率は80%以上。まあ、期待してるよ」
貴「!、はい!!」
まさか、あの美風先輩に“期待してる”って言われるとは思わなかった。
嬉しすぎるよ。
未だに夢じゃないかって思いそうになるぐらい。
寿「まさか生でMinoriちゃんの歌と演奏を聴ける日が来るなんて!僕ちん感動!!」
貴「ありがとうございます(ニコッ」
期待以上の演奏と歌声を、お届けさせていただきますよ。
歌い手Minoriの名に懸けて。
この時の僕は、もはや人見知りなど知らなかった。
初対面の人なら上がっちゃうと思っていたのは、音楽の話で吹っ飛んでいた。
音楽の力ってのは不思議だ。
初対面の人だろうが、人と人を繋げて打ち解けさせてくれる。
だから僕は、音楽が好きなんだろう。
………いや、ちょっと訂正。
今の僕は、音楽が“大好き”なんだ。
この少しの時間で、大好きになってしまった僕は単純だろうか?
だって、音楽の話だけで憧れの人たちと話せているのだから。
だからこそ、心を込めて歌わせて、弾かせて。
どうか僕の音楽で、“僕を”認めて。
早「ではではー、“放課後ストライド”やっちゃってちょーだい!!!」
貴「ふぅう………はぁあ……」
シャイニーさんに言われて深呼吸をし、ピアノの鍵盤に手をかけた。
………大丈夫、いつも通り楽しめば僕の音楽は届く。
Minoriをやってるだけあって、そこら辺の人より上手い自信はあるんだから。
さあ、ショータイムの時間だよ?(ニヤッ