第1章 Episode 1
翌朝、髪を纏めてスーツに着替え、ある程度の貴重品を持って会社へ向かう。 …正直凄く不安だが生活費がなくなるよりマシだ。
…危ない仕事だったらどうしよう、会長の神谷さんって人も、社長の浪川さんって人もとても上司とは呼びづらい雰囲気だった、
『大丈夫かな…』
ふと地図を見ながらため息を付く。
目の前にある小さなビルには「Kiramuneカンパニー」とオレンジの字で書いてあり可愛らしいマークまで書いてある。
ドアを開け、中を見渡すと見事に何も無い受付。
掲示板には「営業部、海外事業部、社長室、会長室」など部屋の名前が書いてあるものの目の前にはエレベーターだけ。
『勝手に入るって…どうすりゃいいの__』
ふと目の前のエレベーターが開き、中から髭の生えたピンクのネクタイの男性が降りてきた。
吉「入社希望の方…ですね?」
『あ、はい。』
吉「私、秘書の吉野裕行と申します。」
『電話の方 !!』
吉「はい、ご連絡有難う御座いました。 社長がお呼びですので今からご案内致します。」
『あ、有難う御座いますっ』
ぺこりとお辞儀をして後ろについて行くようにエレベーターに乗り込む。 秘書の人か…しっかりしててかっこいい人だな___
吉「あの、…お名前、お聞きしても宜しいでしょうか?」
『えっと、望愛です、前田 望愛 』
吉「それでは望愛さんとお呼びします。」
『じゃあ私は吉野さんで!!』
吉「はい、有難う御座います」
ふわりと微笑む彼に不意にもキュンとした__なんて違う違う、お仕事する会社の人、しかも上司になんて…
暫くするとドアが開き目の前には「社長室」と書かれた扉があり、ゆっくりと開くと赤い絨毯にトーテムポール、虎の剥製、そして何故か金の二宮金次郎像
『…失礼します、 !?』
浪「ようこそ!Kiramuneカンパニーへ!!」
目の前には色黒の黄色いネクタイの男性
聞くまでもないこの声は
『…貴方が社長 !?』