第15章 合宿前夜のオネダリ。(月島蛍)
「…いきなり馬乗りってどうなの?」
「だって蛍、明日から合宿で東京なんでしょ……?」
「うん、だから疲れたくないんだけど」
「だから…わ、私は愛が欲しいんです!」
明日から合宿だから今日は大人しく家で会おうって事になったのに、彼女は大人しくするつもりは毛頭ないらしい。
ずっとそわそわしてると思ったら…ベッドに僕を押し倒して馬乗りですか。
「蛍は…じっとしてて良い、から…」
ちゅ、と軽めのキスを頬に落とした後、は僕の制服のシャツのボタンに手を掛ける。
普段やらない事をするから。
手、震えてるじゃん。
ボタンを全て外し終えた後、今度は自分の制服を脱ぎ出す。
「ちょ…!……!」
まさかホントにその気だとは思わなくて思わず手を伸ばして動きを制止する。
いつもみたいに構って欲しくてふざけてるって思ってたけど…の顔を見上げたら、そうじゃないって気付いた。
真っ赤な顔して、目を潤ませて、唇噛んじゃってさ。
その顔がもし僕を煽ってやってるんだとしたら。
「…いいよ、煽られてあげる」
「……け、い?ひゃあ…っ?!」
僕の言葉の意味を考えている彼女の腕を掴んで、クルリと体を反転させる。
今度は僕が組み敷く番。
「あの、蛍は…何もしなくて良いって…!」
「折角乗ってあげてんのに文句言うわけ?」
「そ…じゃなくて……合宿!明日からだから疲れちゃうって思って……」
「あんまり僕の体力ナメないでよね」
「え…っ?あ、んんっ……!」
重ねた唇から舌を滑り込ませ彼女の舌を絡め取る。
ゆっくりと歯列をなぞって、最後に唇を甘噛みする。
そうして唇を離せば、ほら、蕩けた顔になった。
「んん…っ、け、い……」
「して欲しいこと、言いなよ。シてあげる」
「……!」
いつもは一方的に僕が攻めることが多いけど、今日は別。
上手に僕を煽れた、そのご褒美をあげる。
「あ………触って、欲し………蛍…っ」
震える手で僕の手を掴んで自分の胸へと誘導する。
下着越しに触れる柔らかな膨らみ。
「んっ……」
「だいぶ火照ってるけど大丈夫?」
僕の手を冷たいと感じたのか触れた瞬間、はピクリと肩を揺らした。