第7章 裏切り者
「…大丈夫だよ
何もわからなくて大丈夫
僕たちはもう…やるしかないんだから」
「…?」
「そうだ、僕の好きな子わかった?」
ベルトルトが少しだけ
優しい表情に戻り言った
「好きな子…
うーんと…アニ…かな?」
(そう思えばベルトルトって
アニのことをよく見てた気がする…)
「そうだよ、アニだ」
「大事な人が危険な目にあったらって…
あれ、アニを助けたかったんだね」
「…そうだよ
でも結局…こうなってしまった
僕が…ライナーに何も告げずに
逃げるようにアニを連れ出してしまったから…
ライナーも捕まり
みんな…捕まった
…もう…何が正解なのかわからないよ」
先ほどの表情は曇り
目に涙を浮かべ唇を噛みしめるベルトルト
「…ベルトルトはすごいよ
事情はよくわからないけど…
全て投げ出す覚悟でアニを助けたじゃない
大切な人のために…」
「…………でも結局…ダメだった
ダメだったんだよ!!」
「ベルトルト…!静かに…っ」
「なんでこうなってしまったんだ…
僕たちが何したっていうんだ!
なんで僕たちだけこんな目に!
仲間も…大切な人も守れず…っ!!僕は…!!!」
「ベルトルト!!落ち着いて!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
やってやる!!僕だけでも!
みんな殺して…っ
ライナーとアニを連れて…
この運命から逃げ出してやる!!!」
その瞬間
ベルトルトは唇を噛み切った