第66章 真実*茶倉
「お前たちはこれを知っているか?」
季節はずれの暖かさを運んでくれる風が止んだのをきっかけとして千秋が話し出す。
言葉と共に出されたのは、私が直前に返したあの本だった。
…そう、『天空華』だ。
私の向かいに座る千秋は、私の隣に座る和くんと千秋の隣に座る真くんに聞く。
「知ってるぜ。それの映画見たしな!」
「俺も読んだ。…その本がどうしたのだよ。」
その言葉と本の表紙に、胃の辺りが重くなる。
一度、目を閉じた。
「それなら話はわかるな?」
一時的に作られた闇の中で、千秋の声がはっきり聞こえる。
(ちゃんと思い出せたんだから。)
桜花が残してくれた記憶。
思い出せたのだから、確認しないといけない。
みんなの前で明らかにしなきゃいけない。
本はノンフィクションであること。
なぜ私が千秋を懐かしく感じたのかということ。
私と亮さんの関係。
そして、
私が起こした事実。
…私犯してしまった罪も。
うっすら目を開けると、眩しい光が入ってくる。
昨日の雨で出来た水たまりが、太陽の光を反射している。
眩しい。
眩しすぎる。
怖いくらい綺麗な秋晴れだった。