第62章 笑顔と愛*高尾
「……助けた。」
「「え?」」
ふいに述べられた一言にオレたちは聞き返す。
だが答えたのは春音さんだった。
「千秋ちゃん、それじゃわからないでしょ?」
ふふっと楽しそうな笑みを浮かべる。
「千秋ちゃんは倒れた優を助けてくれたの。優とは面識はないけど……まあ、私とまーくんとは関わりがあるけど……。」
芸能界関係かと思ったけど違うらしい。
その証拠に気まずそうに視線を泳がしている。
「なにかあったんですか…?」
(真ちゃん、それ聞くのかよ?!)
オレも思ったけど、聞かない方がいいかなぁって思ったのに!
「まあ、色々ね…」
「……あれは優のせいでは無いですよ。……それに、むしろ感謝してますし。」
「そう言ってもらえるのはありがたいけど…」
(優ちゃんのこと、呼び捨てかよ…)
面識がないのに呼び捨て。
なにか深い事情があるに違いないことを示していた。